確かに・・・
秀樹は1年の時よりますますカッコよくなったよね。
すごく優しいし、エースだし
そりゃ、女の子にモテるよ。

「美奈!」
「あへっ!?」
突然、秀樹に声かけられて
変な声が出ちゃった。
「ボーッとしてどうした?怪我するぞ」
そうでした。
今は化学の実験中。

「ご、ごめん・・・なんでもない」
アナタを観察してました。
なんて、言えるわけがない。

「ならいいんだけど・・・なんかあったら言えよ?」
あれ?
そう言った秀樹の笑顔に
今、キュンってなったような・・・?

「そっちの試験官取って」
秀樹が私の方にある試験官を指差す。
「あ、これね・・・ハイ」
と、試験官を受け取ろうとした秀樹の指が
一瞬、私の指に触れて・・・
ビックリして試験官を放してしまった。
ら、

ぱりーんっ!

試験管が床に落ちて割れてしまった。
「大丈夫か!?どっか切れてないか!?」
秀樹が真っ先に私を心配してくれる。
「ごごごごめん!大丈夫っだからっ!!」
私の顔がものすごく熱くなる。

今までだって手が触れ合うことくらい何度もあったのに
なにこんなに意識しちゃってるんだろう・・・?



「美奈!弁当食おーぜ」
「うん!」
お昼休みのランチタイム。
3人で他愛のない話するこの時間が
私、とっても好きなんだ♪

「お♪卵焼きじゃん!もーらい!」
隆成はそう言って
私がお箸に挟んでいた卵焼きを
ぱくり
食べてしまった。

「美奈んとこの卵焼き、うまいんだよな〜♪」
なんてのんきに言ってる。
私はしばらく固まっていたけど
ガタッ
立ち上がる。

「美奈?どうした?」
秀樹が私のお弁当の卵焼きをつまみながら聞く。
「お箸洗ってくる」
私がそう言って、席を外そうとすると
「美奈ちゃん?それ、軽く傷付くんっスけど?」
隆成はニカッと苦笑い。

「隆成のアホ菌がうつったら困るもん!」
「アホ菌っ!?」
隆成のアタマに血が上った表情を見る前に
ダッシュで教室を後にしていた。

そのまま水道の前まで猛ダッシュ!
私は汗が出そうなくらい熱くなりながら
お箸を眺めて再び固まっていた。

ここここれって・・・
間接キス!?
こんなことぐらい
今までだって何度も・・・

ないよ!
ないないない!
これはない!!
だけどたぶん
今までなら
こんなことあっても普通にスルーできてたよね!?

なのに・・・
なに!
この早鐘のような動悸は!!
自分でも信じられないくらい
ドキドキしてる・・・。

アホ菌発言はこのドキドキを隠す
精一杯の憎まれ口だった。

こないだの化学の時間といい・・・
私、完全に2人を男の子として見てるよね・・・。

あぁ〜もう!
由枝ちゃんがあんなこと言うからだよぉ!!