ガラッ!
「あやーーー!!」
走って教室に戻った私は
扉を乱暴気味に開けるのと同時に叫んでいた。
「なっ・・・突然なに・・・・・・?」
あやと・・・一緒にいたまどかも
すごく驚いた様子で
目を丸くして私を見る。
2人だけに限らず
教室の全視線が私に注がれてるけど
今はそんなこと、どうでもいい。
「アンタねぇ!なに勝手に人の個人情報漏洩させてくれてんのよ!!」
私はツカツカと歩み寄って
また、胸ぐらをつかみそうなくらいの勢いで
あやに突っかかる。
これだけで勘のいいあやは
瞬時に状況を飲み込めたみたいで
「あっ!桜太と会ったんだ!どう?悪くないでしょ?」
なんて、明るい表情で聞いてくる。
「確かにねぇ〜、あのルックスは・・・って!なに話逸らしてんのよ!!」
思わず、あやに乗せられそうになってしまった。
さっきの男の子・・・“桜太”ってったっけ?
バレー部ってことは
女バレキャプテンのあやの後輩。
募集要項のみならず
誕生日まで知ってるって
出所はあやに決まってる!
「逸らしてないよ、アンタの“彼氏絶賛大募集中”に協力してやろうと思ったんじゃない」
「でも、募集要項に沿ってない」
「アンタ、理想高すぎんだよ。少しくらい妥協したら?」
「私の完璧な理想の彼氏ゲットしたアンタに言われたくないよ!」
私のひとことに“うぐっ!”っと
顔を赤くして言い淀んだ様子を見せたあやは
「あたしの話はどうでもいいの!」
自分のことに話がおよびそうになるとすぐにこうして逸らす。
「とにかくさ!桜太はすごくいいヤツだよ!じゃなかったら、親友のアンタのこと教えたりしない」
あやの表情がすごく真剣になって
私、思わず口をつぐんでしまう。
あやによると事の起こりは・・・
以前、新聞部の人に
『バレー部の特集組むから』
って頼まれて
私がバレー部に写真撮りに行った時。
私は女バレの写真撮ってたんだけど
それを桜太がたまたま見かけて以降
私のことが気になってたらしい。
その時に私があやと仲良さそうにしてたから
あやに相談したんだって。
あやは最後にこう付け加えた。
「キレイでかっこよくて・・・一目惚れなんだってさ!」
 
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