那智和歌子(なちわかこ) 17歳 高3

彼氏絶賛大募集中!

募集要項
@高身長
A平均点以上のビジュアル
B芯がしっかりしていて頼りがいがある
C年上!最悪、同い年!


「そんな高い理想掲げてるから彼氏できないんだよ!」

ある日の放課後。
学校からの帰り道。
私の彼氏募集要項にあやが苦言を呈した。
だけど・・・

「久須美先輩ゲットしたアンタに言われたくないよ!」

言い返すと
「あっ・・・あたしの場合はタカが・・・・・・!」
赤くなって目が泳いで
手をごにょごにょしながらしどろもどろ。

普段、あんなに男勝りなあやが
久須美先輩の話になると急変
女の子になっちゃう。

「あ〜ぁ、サラッと『タカ』なんて呼んじゃってるし・・・」
「だっ!だって!そう呼べって言われるんだもん!!」

軽くおちょくってやると
ますます赤くなって慌ててるし。
でも・・・
あのあやが
ホント、かわいくなったと思う・・・。


久須美貴之先輩。
ひとつ年上の先輩。
去年の男子バレー部のキャプテンだった。
今は大学生なんだ。
バレー部だからもちろん背も高いし
イケメンで優しくて・・・
絶大な人気だった。
私だってすごく憧れてた。
のに!
あろうことか
先輩がホレたのは男女のあやだった・・・。
ファンの子たち、泣くに泣けない状況だったんだから。
あーあ、女の趣味以外は
私の理想どんぴしゃだったのになぁ・・・・・・。

なんてね。
散々、おとしめちゃったけど
あや、綾部京子は中学の時からの親友。
バレー部のキャプテン。
すっごく男勝りだけど
明るくて、楽しくて
相手が誰でも分け隔てない。
久須美先輩はあやのそういうところにホレたんだよね。
ちゃんとそういうところを見つけてくれる久須美先輩・・・
考えれば考えるほど
ますます惜しくなっちゃう!


「でも、なっちゃんモテるじゃない?」

私たちのやり取りをにこやかに見守っていたまどかが
スッと口を挟む。

まどか、畑野まどかも中学の時からの親友。
あやとは違ってすごく女の子らしいかわいい子で
大人しくて控えめで・・・
控えめすぎて
時にはイラッとするほど引っ込み思案だったけど
彼氏ができてからはそれほど気にならなくなった。

まどかにしろ
あやにしろ
やっぱり
恋は
女の子を変えちゃうんだね。


「そうそう!なち、こないだまたコクられてたじゃない!」
あやがまどかのセリフに同乗する。

まどかが私に『モテる』と言ったこと
それに対して否定はしない。
自分で『モテる』ことを自覚してるわけじゃないけど
ここ1年で3人にはコクられたから・・・
モテないわけでもないとは思う。
でも・・・
「寄ってくんのはなんかちょっとおかしなヤツばっかなんだもん!」

イチバン最近では
隣のクラスのまぁまぁイケメンだったんだけど・・・
とんでもないアニメオタクで
ナントカってアニメのカントカちゃんに
私が似てるんだって!!
冗談じゃない!!!

他にはとんでもないナルシストだとか
オカルト野郎とか・・・
私、男運ないのかなぁ〜・・・・・・。
彼氏は喉から手が出るほどほしいんだけど
寄ってくるのがこんなおかしなヤツばっかだから!
あんな『理想が高い!』って言われるような
募集要項になっちゃったんだよ!

それに・・・
あやもまどかも
すごく素敵な彼氏ゲットしちゃってるから
意識の底の方では
一方的に“張り合い”というか
“焦り”みたいなのもあるのかもしれない・・・・・・。