次の日
「行く!!」
帆風くんが文化祭に誘ってくれたことを伝えた時
あやちゃんとなっちゃんの返事は即行だった。
「帆風、電車乗っててよかったね!まどかぁ!」
なっちゃんがキュッと私を抱きしめる。
「うん!」
きのうのことを思い出して、また顔のへらへらが止まらない。
「見てよ!この子のだらしない顔!」
あやちゃんが呆れて言う。
「いいじゃないよ、ねぇ!あやも恋したら分かるって!」
「いいよ!そんなの、分かんなくて!!」
あやちゃんはバレーボール命、だもんね。
「あ・・・」
きのうのことを思い出してへらへらしてたら
もうひとつ、思い出したことがあった。
「なに?」
「きのう、藤森さんにも会ったんだ・・・」
「藤森?」
「もしかして・・・バスケ部のマネージャー!?」
さすがあやちゃん、鋭い!
「うん・・・ホントにすっごくかわいい子だった・・・」
「なんで会ったの?」
「途中から電車乗って来たの」
「それって・・・帆風のこと、つけてたんじゃないの?」
「げっ!ストーカーじゃん!」
「でも、スポーツ店行ってたみたいだったよ?」
「そんなの、口実に決まってるじゃない!」
そ、そうかなぁ・・・?
確かに、藤森さんちょっと苦手なタイプだけど・・・
帆風くんのことあきらめられない気持ち、ちょっと分かる・・・。
なんて言ったら、怒られるよね・・・。
「話戻るけど・・・」
なっちゃんが切り出した。
「まどかのこと文化祭に誘ったりして、帆風の好きな子ってどうなったの?」
うっ・・・そうだった・・・。
文化祭に誘ってもらって浮かれてたけど
帆風くんには好きな子がいるんだった・・・。
「あや、なんか聞いてない?」
「うん、帆風って中学の時もだけど、自分から女の子に話しかけるようなタイプじゃないじゃん?だから、特別な子が居るようには見受けられないって・・・」
そこまで言うと、あやちゃんがハッとしたような表情をして
なっちゃんと顔を合わせた。
すると、なっちゃんもハッとした表情になって・・・
2人して私を見て、ニヤリとした。
「えっ!?なに!?」
「いや〜ぁ・・・なんでもぉ〜」
2人とも、突然空々しい。
「なんなのっ!?2人で目で会話してないで、教えてよぉ!」
「教えな〜い♪」
「私も教えな〜い」
「やだー!気になるっ!教えてってば!!」
そんなことをしていると
キーンコーンカーンコーン♪
チャイムが鳴った。
「さっ、次は楽しい数学だ。予習でもしようか、なち!」
「そうだな、あや!」
「や・・・ちょっと!はぐらかさないでよぉ〜!!」
私はもう気になって気になって、数学どころじゃなかった。
 
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