「あのさ・・・オレ・・・」
帆風くんがなにか言おうとしたその時・・・
「帆風くん!」
女の子の声が帆風くんを呼んだ。
「藤・・・森・・・・・・」
帆風くんの知り合いなんだ・・・?
あ、富高の制服着てる。
その女の子をマジマジと観察する・・・。
うわ〜!
すっごいかわいい子!!
目はパッチリ二重、鼻筋がスッと通っていて、肌は色白で
髪は背中の真ん中ぐらいまでのキレイなロング
軽くウェーブがかかってる・・・。
「帆風くんと電車で会うなんて珍しいね」
その女の子は私と反対側の帆風くんの隣に座った。
「藤森・・・いつから乗ってた?」
「さっきだよ。芦ノ里駅にいつも行ってるスポーツ店があるから、テープとかスプレーとか買って来たの」
あ!
もしかして、バスケ部のマネージャーってこの子?
帆風くんにコクって断られたけど、付きまとってるって・・・。
本当にすっごくかわいい子だぁ・・・。
そりゃ、自信あって当たり前だよ。
「その子は?」
その女の子・・・藤森さんが帆風くんに私のことを聞く。
「中学の時の友達」
私、「友達」って言ってもらっただけで嬉しくなっちゃってる。
お手軽だな・・・。
「北浦?」
藤森さんが私の制服を見てそう言った時
少し小馬鹿にしたようにクスッと笑ったのを私は見逃さなかった。
うっ・・・
確かに富高は頭よくて、ウチの学校より5つくらいランク上だけどさ
それに対して今までコンプレックスとか抱いたことなかったのに
そうやって笑われちゃうと、さすがに少しヘコんじゃう・・・。
「ね、今度の文化祭、帆風くんのクラスはなにやるの?」
藤森さんがスッと話題を変える。
私の存在無視?って感じで帆風くんにガンガン話しかける。
すごいな・・・。
フラれたのにこんなに積極的になれるなんて・・・。
私に気を遣ってくれているのか、帆風くんは少し戸惑い気味みたい。
私、なんだかお邪魔っぽい・・・。
『藤寺 藤寺〜』
駅に到着した車内アナウンスが流れる。
「わ・・・私、今日ここで友達と待ち合わせしてるんだ」
そう言って立ち上がった。
もう、この場に居たくないんだもん・・・。
「あ・・・なんか、ごめんね」
藤森さんが申し訳なさそうに言う。
「いえ、じゃ・・・」
電車を降りようとすると
「またな!」
帆風くんがそう言ってくれた。
 
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