翌朝、下足室のところで
さっそくあやちゃんと遭遇した。
きのうの夜
ベッドに入ると電車でのことがまざまざと思い出されて
なかなか寝付けなかった。
私、あやちゃんにもなっちゃんにも悪いことしちゃった…。
明日、ちゃんと謝ろう・・・!
今日はそう決めて来た。
「あ、あやちゃん!」
私の声に振り返ったあやちゃんは
寝不足なのか、疲れ切ったような顔をしていた。
「まどか!きのうはごめんね!!」
へ?
それ、私のセリフ・・・。
「まどかの言う通りだよ!人に触れられたくないこと、誰にだってあるよね!私、なにも考えないで・・・まどかにも不快な思いさせちゃってごめん・・・」
あやちゃん・・・。
「ち、違うよ!悪いのは私なの!私、あやちゃんに八つ当たりしちゃった・・・」
「八つ当たり?」
「うん、知りたくなかった事実を突き付けられた気がして…あやちゃんがあんなことを言わなければ、知らずに済んだのにって・・・」
「・・・知りたくなかった事実って・・・なに?」
「・・・・・・帆風くんに…好きな子がいるってこと・・・。でも、遅かれ早かれ知ることだよね・・・」
「まどか・・・」
「私、中学の時から帆風くんが好きなの・・・ごめんね・・・ずっと言い出せなくて・・・」
そう言うと涙が出て来ちゃった。
「泣かないでよ、まどかぁ〜・・・まどかは悪くないのに・・・私まで泣けちゃうじゃん・・・」
あやちゃんはそう言うと、ぎゅっと私を抱きしめて、一緒に泣いた。
「おーい、おふたりさーん。朝っぱらからこんなところでのラブシーンは禁止ですよぉ〜」
ふたりで泣いてると、なっちゃんがやって来た。
気付くと周りには人がたくさんいた。
は、恥ずかしい・・・。
でも、あやちゃんは
「いーの!まどかと私はラブラブなんだからっ!」
と言って、さらに私に抱きつく。
「なにを〜!私だってラブラブじゃぃっ!」
なっちゃんもあやちゃんと私に抱きつく。
「うわ〜!レズだレズ!」
男子たちがそう言いながら、通り過ぎていく。
「なんだとー!?」
あやちゃんが叫んで、その男子たちを追いかける。
「小学生かよ!あやは落ちやすいけど、復活も早いなぁ〜」
なっちゃんが苦笑いしながら呆れている。
「あの・・・なっちゃん・・・」
「なに?」
「きのうはごめんね・・・」
「んーん、まどかは悪くないよ。私もあやと一緒になって帆風のこと、冷やかしちゃってごめん」
「私・・・」
「いいよ。さっきのあやとの話聞いてたから分かってる」
なっちゃん・・・。
「でも、もっと早く言ってほしかったなー」
なっちゃんが拗ねたふりをして、口をとがらす。
「ご・・・ごめん」
「ねぇ、帆風のどこにホレたの?中学の時なんて全然冴えないヤツだったじゃない」
「なっちゃん、ひどい・・・」
「あは、ごめんごめん」
ふたりに帆風くんを好きなことを言えて
少し気分がスッキリした。
 
|