また、月曜日がやって来た。
「私、急ぐから!じゃあね!」
今週は掃除当番だけど
マッハで済ませて教室を飛び出した。
「あの子、なに急いでんの?」
「さぁ?」
あやちゃんとなっちゃんが不審がっているのも気付かず
いつもの電車に乗れるように
急いで駅に向かった。
帆風くん、月曜日練習休みって言ってたし
また会えないかな?
なんて、淡い期待を胸にいつもの電車のいつもの場所
2両目の一番後ろの扉から乗り込む。
すると
「畑野!」
電車に乗った瞬間、名前を呼ばれた。
帆風くん!
ホントにまた会えちゃった!!
「ホントにこの時間の電車なんだな。隣、座れよ」
うわ〜!やっぱりドキドキしちゃう!!
帆風くんに会えた嬉しさにポーッとしていると
「まーどかちゃ〜ん♪」
2両目と3両目の連結部分から
ニヤニヤしながらこちらを覗いているあやちゃんとなっちゃんがいた!
「あやちゃん!なっちゃん!!なんでっ!?」
今日は2人は部活のハズなのに!
「アンタの様子がなんか怪しいから、部活休んじゃったよ」
さすが、早耳のあやちゃん。
怪しいにおいにも敏感だ・・・。
「へぇ〜、ホントにカッコよくなっちゃって・・・垢抜けた感じ!」
なっちゃんは帆風くんに興味を示してる。
「帆風!私のこと、覚えてる?」
「那智に綾部だろ?久しぶり!」
帆風くんは突然2人が現れたこと、なんとも思ってないみたいだな。
別にやましいことしてるわけじゃないし、焦る必要ないかも・・・。
そう思っていると
「ふ〜ん・・・まどかと帆風はこうやって逢瀬を重ねてたんだぁ〜」
あやちゃんがニヤニヤしながら冷やかす。
「そ、そんなんじゃねぇって!たまたまだよなっ!」
帆風くんが焦って私に同意を求める。
「うん!!」
私も力強くうなずく。
中学の時もこんなこと、あったな・・・。
「それよりさ〜、帆風・・・」
「なに?」
「アンタ、高校入ってモテまくってんだって?」
あやちゃんがニヤッとしながら聞く。
「な、なんだよ?それ・・・」
「そーそー、すでに3人からコクられたって?」
なっちゃんもあやちゃんを援護射撃する。
「ノンノン♪3人じゃなくて4人だよ」
「えーっ!」
あやちゃんの新情報に 私となっちゃんがハモった。
「なんで!綾部がそんなこと知ってんだよ!!」
帆風くんは右手で口元を覆って、真っ赤になっている。
その慌てぶりを見ると、ウワサは本当なんだと分かる。
「早耳のあやちゃんを侮ってはいけません♪」
あやちゃんがニンマリして続ける。
「きのう入手した情報によるとバスケ部のマネージャーにもコクられたんだって!そのバスケ部のマネージャーってのがすっごいかわいくて、今年のミス富高候補なんだって!」
ズキッ・・・
そんなにかわいい子がいつもそばにいるんだ・・・。
「なのに、断っちゃったんだって!」
それを聞いて、少しホッとしちゃう私がいた。
イヤな子だよね・・・。
「でもその子、簡単には引き下がらなそうなんだって・・・」
「そうなの?帆風?」
なっちゃんが帆風くんに聞く。
「・・・う・・・まぁ・・・そんな感じ・・・」
帆風くんは相変わらず、赤くなっていた。
「自分がかわいいって分かってる自信ゆえ、みたいだよ。だから、納得出来ないって付きまとってたらしいんだけど、あんまりしつこいから・・・」
あやちゃんがそこまで言うと
「ストップ!」
帆風くんが制した。
 
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