ハンバーグにパクついたまま
声の方に振り向く・・・
でたーーー!!
「幽霊と遭遇したみたいな顔・・・ひどいなぁ・・・・・・」
やっぱり・・・
苦笑いしてる桜太がいた。
「あや先輩たちに会って、ここだって聞いたから」
アイツら!
私のこと、売りやがったな!
桜太は私の隣にちゃっかり座りながら
「いつまでもくわえてないで食べちゃえば?」
ハンバーグにパクつきっぱなしの私に言った。
テキトーに2〜3回噛んで喉の奥に追いやる。
「なんで座ってんのよ」
「一緒にお昼食べよって言ったよね?」
「私は了解してない」
「まーまー、そんなこと言わないで」
桜太はニマッとすると
持ってきたお昼ご飯であろうクリームパンの袋を
バリッと開けて
「いただきまーす!」
大口で食いついた。
私はきっとなにを言ってもムダだと
半ばあきらめのため息が出る。
そんな私をよそに
桜太はばくばくと4口くらいで
クリームパンを早くも全部平らげてしまった。
「はやっ!」
「そぉ〜?」
「お昼そんだけ?」
「もう1個あるよ。あと三角コーヒーも」
そう言って2個目の袋を開けた。
「え?またクリームパン?」
「うん、クリームパン好きなんだ♪」
ホントに“大好き!”って感じの満面の笑みで
クリームパンに食らいついた。
なんか・・・
かわいいかも・・・・・・。
って!
今のなし!
ナシナシ!!
「どうかした?」
“かわいい”
なんて思ってしまったことを
振り払うように首を横に振っていた私を
不思議そうに見る桜太。
「ヘンなヤツだと思っただけ!」
ぶっきらぼうにそう言うと
今度はからあげを口に突っ込んで
もごもごしながら
「そんなお昼ご飯でいいわけ?アンタ、仮にもエースなんでしょ?」
話を逸らせたくて
あやからの情報をぶっこんだ。
桜太は背丈はさほど高くないけど
ジャンプ力がずば抜けてて
腕や肩が強いから
強烈なスパイクが打てるらしい。
2年ながらエースの看板しょってるんだって。
「オレの身体、心配してくれるんだ?ありがと。和歌ちゃん、優しいね」
「ちがっ・・・!そういうつもりじゃなくて!!」
今度はさっきの満面の笑みとは違う
それこそ
“優しい”
と言うにふさわしいんじゃないかって笑顔の桜太を前に
不覚にも若干慌てて
お弁当をぐちゃぐちゃにかき混ぜちゃってた。
「今日はホントにいいお天気だね〜」
なんて
この数分だけで
相当な感情の起伏があった私に対して
能天気な桜太。
なんか・・・
コイツといると
調子狂わされちゃうな・・・・・・。
その後は特に当たり障りのないおしゃべりをして
お昼休みは終わった。
桜太は
1個目のクリームパンこそ4口で食べてしまったけど
2個目は私のお弁当を食べるペースに合わせて
ゆっくり食べていた。
その日を境に
教室や部室にまで
時間があれば桜太は顔を見せるようになった。
でも
特に踏み込んでくるわけでもなく
いつも他愛のない話をして
テキトーに去って行く。
次第に
桜太が顔を見せることが
日常になってくる。
桜太の顔を見るのが日常になって1ヶ月ほどが経ったころ。
桜太がにわかに動き出す。
 
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