サンタさんへ

サンタさん、おねがいがあります。
ぼくには大すきな人がいます。それは、おとなりのおねえさんです。そのおねえさんが、来月けっこんをしちゃうんです。
ぼくがいやだといったら、おねえさんはこまるかもしれません。
でも、ぼくがいやだといってもむりなのは分かっています。
おねえさんがこまるようなことは言わないようにしたいです。
まい年、かれしとクリスマスをいっしょにいるのですが、今年の12月24日のぼくのたんじょう日は、いっしょにいわってくれることになりました。
「おいわいが出来るのは、今年までだから」
と言ってくれました。
もちろん、ぼくのかぞくもいっしょだけれど、12月24日におねえさんといれる最後のきかいです。
今年はクリスマスプレゼントはいらないです。
来年もなくてもかまいません。
あ、でも、さ来年には、ほしいです。

その代り、12月24日に雪をふらせて下さい。
ぼくはよく分からないけど、クリスマスに雪がふるとおねえさんがよろこんでくれると思うからです。
ぼくとおねえさんがいっしょにいれる最後のクリスマスにおねえさんがえがおでいてくれるとぼくもうれしいからです。
そしたら、さ来年までクリスマスプレゼントがなくてもがまんします。
だから、う〜んといっぱいの雪をとどけて下さい。

                                       黒川けいご

その手紙がサンタへ届いたのかは分からない。
だが、クリスマスイブ当日。
それほど雪が多くない圭吾の町は、一面の銀世界に包まれていた。

まるで、まだ絵具も鉛筆ものせていない白いキャンパスのようだった。
隣のお姉さんとの最後のクリスマスイブの思い出を描けるようにとサンタがくれたプレゼントだったのかもしれない。